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離婚のアレコレ/【判例紹介】不倫をした配偶者からの離婚請求が認められなかった事例 ―札幌高裁平成28年11月17日

離婚について 離婚の原因

福井春菜Auther :福井 春菜

【判例紹介】不倫をした配偶者からの離婚請求が認められなかった事例 ―札幌高裁平成28年11月17日


離婚について双方が合意しない場合には、離婚を求める側が裁判上の離婚原因があることを主張立証しなければなりません。
しかし、離婚を求める側が不倫(不貞行為)をしている場合には、いわゆる有責配偶者とされ、通常よりも離婚請求が認められにくくなってしまいます。
※参照

本件は、夫(40歳)が単身赴任中に不貞行為に及びましたが、事情を知った妻(41歳)が婚姻継続を求めたのに対し、夫は不貞相手との再婚を求めて離婚請求を行ったという事案です。
裁判所は、結論として、夫が有責配偶者であると認定した上で、婚姻期間が約19年10か月であるのに対し、別居期間が約2年11か月にすぎず、両者の年齢及び婚姻期間に比して別居期間が相当長期間に及ぶとはいえないことや、長男が18歳、長女が16歳といずれも学齢期であり、養育費を考慮しても妻が経済的に余裕のない状況に陥る可能性があることなどから、夫の離婚請求を認めませんでした。

本件において、夫は、①妻の家計管理がずさんであったこと及び②妻が不貞に関する慰謝料請求の通知をするとともに自宅の鍵を取替えて夫を閉め出す行為に及んだことから、妻にも婚姻関係が破綻したことの責任はあると主張していました。
①について、妻は夫に秘して多額の借金をしていたことがあり、発覚後に一括返済によりこれを整理した後も、再び同様の借金をしていたという事情があったものです。しかし、本件では、夫も自動車を頻繁に買い換えて一時4台も保有していたり、スノーモービルを保有していたり等、妻が家計をやりくりできなかったことに夫の支出が大きく影響していることや、夫婦で家計について真摯に話合いがなされたことがなかったことから、家計管理については一方のみに責任があるとはいえないとされました。
また、②については、当時既に夫の不貞行為により婚姻関係が極めて悪化していたことから、妻の行為が婚姻関係破綻の直接の原因となったものではないとされました。

①のような家計管理のずさんさや、②のような鍵を交換して閉め出す行為も、事案によっては離婚原因となりうるでしょう。
※参照

しかし、本件のように有責配偶者と認定されるケースでは、その有責行為(不貞行為等)が婚姻関係破綻の直接の原因となり、その他の従前の夫婦間の問題について、他方配偶者の落ち度を主張しても、なかなかそれらが直接の原因として考慮されない傾向があります。
離婚原因や有責性の有無については、一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 

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