離婚について 離婚への準備
Auther :木上 望
Q 夫に愛想が尽きたので離婚を申し入れようと思いますが、離婚したいと伝える前に何か準備しておいた方がよいことはありますか?
A 離婚の申し入れを行う場合には、その後に想定される展開を想定して準備をしておくことが必要です。
○別居の準備
夫に離婚を申し出た場合に、どちらかが家を出て別居となることもあれば、同居のまま話し合いを行うこともあります。特に、妻の側で、夫との同居生活に耐えきれず、離婚の申し入れと共に家を出て別居するということを予定している場合には、家を出た後に住む場所や今後の生活基盤をどうするのかを検討しておく必要があります。
また、別居を決意している場合には、自らの通帳、印鑑、保険証券はもちろん、その他思い入れのあるものなど、何を持って行くかについても、別居後の生活や今後の離婚の交渉を見据えて慎重な検討が必要です。
○当面の生活費や仕事
別居したとしても、夫婦は婚姻関係が続いている限りは、生活費を分担しあう義務を負います(民法第760条)。妻が主婦で、夫の収入によって家計を維持しているという場合には、妻が家を出たときも、逆に、妻から離婚を突きつけられた夫が家を出たときであっても、夫は、別居中の妻に対して生活費(婚姻費用)を支払う義務があります。
しかし、夫が感情的になって婚姻費用の支払いを拒否するということも想定されますので、別居する場合はもちろんですが、そうでない場合でも、夫が家を出て行ってしまい、別居状態が生じることに備えて、当面の生活費は確保しておきたいところです。
また、婚姻費用だけで生活を維持することは、容易ではありません。子どもが幼かったりすると難しい場合もありますが、妻が未就労の場合には、別居後の生活費を補填するためにも、就労について検討できるとよいでしょう。
○離婚原因や財産分与等の立証資料
妻からの離婚の申し入れに対して、夫が拒否したり、あるいは、離婚原因を否認したりするということもあり得ます。こうした事態に備えて、申し入れをする前に、争われた場合に備えての離婚原因を証明する資料(不貞が原因となる場合には、ラブホテルへの出入りを撮影した写真や浮気相手の女性とのやりとりが記されたメール、LINE、手帳や日記等。DVが原因となる場合には、DVの状況を記録した写真や動画、診断書等。)をあらかじめ準備しておけるとよいでしょう。もっとも、DV事案などでご相談者の生命や身体に危険があるような場合には、安全の確保が第一ですので、離婚の申し出をするよりも、警察に相談の上、直ちにシェルター等へ避難することを強くお勧めします。
また、離婚の際には、婚姻期間中に形成された財産の分与が認められますが、夫が主として家計を管理しているケースなどでは、どこにどのような財産があるのかを十分に妻が把握できていないこともあります。場合によっては、離婚の申し入れを受けて夫が財産を隠匿してしまうという場合もないとは言い切れません。
そのため、離婚の申し入れに先立ち、夫の財産状況を確認し、例えば、通帳についてはコピーする等の保全措置を講じておくことが望ましいといえます。
お困りの際は弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。