養育費について 養育費
Auther :木上 望
Q 現在、元夫から毎月養育費を受け取っているのですが、再婚して、再婚相手と子どもが養子縁組した場合でも、養育費はもらえますか。
A あなたが再婚したというだけであれば、実の父親(実親)である元夫が子どもに対する扶養義務を負っていることに変わりはありませんので、養育費を受け取ることができるでしょう。
しかし、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合には、養親となった再婚相手が子どもに対する1次的な扶養義務を負うことになります。
実親である元夫も、2次的には扶養義務を負うのですが、実際に養育費を負担すべき場合はかなり限定的なものになってきます。裁判所は、この2次的な扶養義務について、「親権者とならなかった実親の扶養義務は、養親らが負う生活保持義務におくれる特殊な生活保持義務に過ぎない」として、「養親らの資力が十分でなく、養親らだけでは養子の健康で文化的な最低限度の生活を維持できなくなったときには、養子は親権者とならなかった実親に対して扶養請求することができる。」としています(熊本家裁平成29年3月10日審判参照)。
具体的には、生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法により計算した結果、不足が生じるのかどうかという観点から検討されており、「親権者とならなかった実親の生活の程度が養親らの生活の程度より高いからといって、親権者とならなかった実親に対してその差を埋め合わせるだけの金額を請求することはできない」(上記熊本家審)という厳しい判断がされています。
お子さんを連れて再婚する場合には、“再婚相手に養子縁組してもらって実の親子と同じような関係をもってほしい”というお気持ちから、養子縁組をするケースが多くみられます。しかし、上述の通り元夫から養育費をもらえなくなる可能性が非常に高いということを念頭に置いていただき、“元夫に実親として養育費を支払い続けさせることで子どもに対する責任を果たしてほしい”というお気持ちと、どちらを優先するかについて、慎重に検討いただければと思います。
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