離婚について 離婚を成立させるための手続き
Auther :木上 望
Q 夫と関係がうまくいかないので離婚を考えていますが、離婚はどのような場合にできますか?また、夫婦間の話し合いがまとまらない場合にはどのような手続をとればよいでしょうか?
A 離婚には、裁判上の手続を用いない協議離婚と裁判上の手続を用いた離婚手法(調停離婚、審判離婚、裁判離婚(協議の裁判離婚、和解離婚、認諾離婚))があります。
「夫婦は、その協議で、離婚することができる」(民法第763条)とされていますので、離婚することになった理由や、離婚の動機を問わず、ご夫婦で話し合いの結果、離婚するとの合意が成立すれば、離婚(協議離婚)をすることができます。そして、ご夫婦及び成年2名(証人)が署名・捺印した離婚届(市区町村役場に備え付けられています)をご夫婦の本籍又は住所地の市区町村役場に提出し、受理されると離婚が成立します。なお、夫婦に未成年のお子さんがいるときは、どちらが親権者となるかを決めて、離婚届に記載しなければ受理されません。
これに対して、ご夫婦の間で話し合いをしても一方が離婚を拒んだ場合や、離婚そのものについて争いはないものの、お子さんの親権の帰属等の付随的な条件がまとまらずに、夫婦間の話し合いでは解決できないという場合、それでも、夫婦のどちらかが離婚を希望するときには裁判上の手続を用いた離婚手法(調停離婚、審判離婚、裁判離婚(協議の裁判離婚、和解離婚、認諾離婚))を検討することになります。
最終的には、離婚訴訟を提起し、家庭裁判所に離婚についての判断を仰ぐことになりますが、その場合でも、いきなり訴訟を提起するのではなく、まず、家庭裁判所に対して、調停を申し立てることが必要とされています(家事事件手続法第257第1項)。
この調停での話し合いにて離婚についての合意が成立し、調停調書が作成されると、その調書は離婚の確定判決と同一の効力を有することになります(調停離婚、家事事件手続法第268条)。また、実務的には、ほとんど用いられていませんが、調停で合意に至ることができない場合であっても、裁判所は、相当と認めるときは、離婚を命じる審判をすることができるとされています(審判離婚、家事事件手続法第284条第1項)。なお、離婚を命じる審判に対して異議が申し立てられた場合には、その審判は効力を失うことになります(家事事件手続法第286条第5項)。
調停不成立後に、ご夫婦の一方又は双方が離婚を希望し、かつ、ご夫婦の間に法定の離婚原因(民法第770条第1項各号)が認められる場合には、離婚訴訟を提起することになります。
なお、厚生労働省が作成している人口動態統計によれば、平成27年度の全国の離婚件数は、22万6215件(1000人あたりの離婚率は1.81)であり、このうち、熊本県の離婚件数は3290件(1000人あたりの離婚率1.85)となっています。
また、離婚の種類別では、協議離婚(19万8214件、87.6%)、調停離婚(2万1730件、9.6%)、審判離婚(379件、0.2%)、裁判離婚(和解離婚、認諾離婚、判決離婚の合計:5892件、2.6%)となっており、協議離婚が全体の約9割を占めています。
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