子どもと親権について 面会交流
Auther :木上 望
Q 妻が子ども達を連れて実家に帰ってしまいました。子ども達と会わせて欲しいと申し入れているのですが、子ども達が会いたくないといっているという理由で会わせてもらえない状態が続いています。別居前は、私も子ども達と旅行に行ったり、家族で団らんしたりと円満に過ごしていたので、別居後に急に子ども達が会いたくないと言い出すなんて信じられませんし、妻が私の悪口を吹き込んでいるとしか考えられません。離婚については、妻がどうしてもというのであれば、やむを得ないと思いますが、せめて、子ども達には、これまでどおり会って、父親として接していきたいのですが、どうしたらよいでしょうか。
A 子どもと一緒に暮らしていない方の親(非監護親)としては、子どもと面会して交流をしたいと感じることは自然なことです。また、親がやむなく離婚してしまった子どもにとっても、同居している側の親(監護親)だけでなく、非監護親とも接し、双方の愛情を受けながら育っていくことが望ましいですし、我が国が批准している児童の権利に関する条約第9条第3項では、その旨が、子どもの権利として認められています。
そのため、離婚した場合だけでなく、離婚前で、夫婦関係が破綻して離婚に向けた別居状態にある場合にも、非監護親は、子どもと個人的に面会したり、電話や手紙等でやりとりをしたりして交流することを求めることができます。
その具体的な方法としては、夫婦間の話し合いで合意ができれば良いのですが、話し合いができない、話し合ったが合理に至れなかったという場合には、家庭裁判所に対して、調停又は審判を申し立てることができます(民法第766条第2項)。
調停や審判では、①非監護親の別居に至る前のお子さんへの接し方、お子さんに対する愛情、希望する面会交流の内容、②お子さんの年齢、心理状態、意向、③監護親の生活状況、お子さんの監護状況、面会交流についての意向などを、面会交流を認めることが子の福祉や利益に適合するかどうかの観点から総合的に考慮し、その許否が判断されます。
なお、裁判所は、子と別居親との面会交流は、子の健全な成長に資するものであるとの前提に立っており、面会交流の実施により子の福祉を害することが明らかであると客観的な事情から認められる場合(非監護親からの虐待や連れ去りが懸念される場合や、面会交流により子の心身の健康が損なわれる恐れがある場合等)を除いて、直接の面会を積極的に認めるという傾向にあります。
ご相談のケースでも、面会交流を申し入れ、ご夫婦の話し合いでの解決が見込めないようであれば、家庭裁判所に調停等の申立をご検討いただくのが良いと思います。
お困りの際は弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。