子どもと親権について 面会交流
Auther :木上 望
Q 別れた元夫から、子どもに会わせて欲しいと連絡がありました。会わせること自体はかまわないのですが、元夫の暴力が原因で離婚することになりましたので、私は、いまも元夫の顔を見たり、声を聞いたりするだけでパニックになってしまいます。このようなときは、どうしたらよいのでしょうか?
A 面会交流は別居や離婚をした後に行われるため、父母が対立していることも多く、その実施に様々な困難が伴うケースも多くあります。特に、ご相談のケースのように同居中に相手方(前夫)からのDVがあったような事案では、被害者の安全や心身の平穏を保つという観点から、相手方と直接会うということは避けた方が良い場合も多いでしょう。
とはいえ、婚姻中に妻に対するDVがあったからといって離婚後の面会交流が直ちに否定されるかというと、そうとも限りません。もちろん、個別のケースによって判断は分かれるところではありますが、大きな傾向としては、近時は、子の利益の観点から面会交流の必要性が強調されていますので、DVがあった場合でも、子への直接の暴力がない限りは、非監護親との面会交流を行うことが子の利益に適うものとされ、その方法はともかく、面会交流については実施する方向で調整がなされる傾向にあります。
ご相談のケースでは、面会交流の実施それ自体は構わないというご意向のようですので、あとは、あなたの心身に負担とならないように、どのように実施するか(連絡の方法、面会交流の頻度や時間、お子さんの受け渡しの方法等)を裁判外の話し合いや調停等を用いて、相手方と調整する必要があると思います。
なお、ご相談のケースでは、相手方と何らかの接点を持つことは、あなたにとっては大きな精神的苦痛を伴う状況のようですので、面会交流の実施にあたっては、第三者の協力が不可欠と思います。あなたのご親族等で、面会交流に協力してもらえる方がいれば、その方に間に立ってもらって、日程等の連絡調整を行ってもらい、面会交流当日についてもお子さんの受け渡し等の対応をしてもらうということが一案です。そうした方に心当たりがないという場合には、面会交流の支援を行う第三者機関の協力を仰ぐことを考えることになります。
面会交流の支援を行っている団体としては、元家庭裁判所調査官を中心として設立された公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC、エアピック)が最も規模が大きく扱っている件数も多いと思われます。もっとも、熊本には拠点がないため、もし、利用するとなると福岡の相談室になってきます。なお、そのほかでは、熊本県内では、熊本県母子家庭等就業・自立支援センターが面会交流事業を行っているようですが、平成29年度は事業を実施していないようです。
お困りの際は弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。