離婚について 離婚の原因
Auther :木上 望
Q 結婚して1年ほどして、妻との関係が冷え込んだ時期に別の女性と出会い、真剣に交際するようになりました。しばらくして、その女性との交際が妻に発覚してしまい、離婚を申し入れましたが、拒否されましたので結婚2年目にやむなく別居をしました。それから5年ほどが経ちます。この間、生活費を渡してはいますが、それ以外で連絡を取ることはありませんでした。なお、別居当時、妻は妊娠していましたが、出産後、子どもに会わせて欲しいと申し入れても拒否されてしまい、今に至ります。
それなりに時間も経ちましたので、改めて離婚を申し入れようと思いますが、拒否された場合、離婚はやはり難しいでしょうか?
A 夫婦間で離婚の合意が成立すれば、婚姻関係の破綻の原因にかかわらず離婚は可能です。しかし、一方が離婚を拒否する場合に裁判上の離婚まで認められるかというと、婚姻関係の破綻を専ら又は主として作出してしまった側からの離婚請求については、残念ながら容易には認められてはいません。
判例では、婚姻関係の破綻の原因を作った側の当事者(有責配偶者)からの離婚請求について、「①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいるか否か、②その間に未成熟の子が存在するか否か、③相手方配偶者が離婚により精神的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような事情が存するか否か等の諸点を総合的に考慮して、当該請求が信義誠実の原則に反するといえないときには、当該請求を認容することができる」とされています(最大判昭和62年9月2日民集41巻6号1423頁、最判平成16年11月18日集民215号657頁等)。
ご相談のケースでは、同居期間2年、別居期間5年と、別居期間の方が同居期間を上回る状況となっているものの、ご夫婦の間には、4~5歳のお子さんがいるという状況ですので、その他の事情にもよりますが、妻が申し入れを拒否して仮に裁判となった場合には、現時点で離婚請求が認められる可能性は高くはないと思われます。
ただ、このまま漫然と別居期間が続いたとしても、何年後には確実に離婚ができるということも言い難いところです。離婚調停・訴訟の過程において、裁判所の橋渡しによって妻との間で合意が成立し離婚が可能となる可能性もありますし、仮に現時点では離婚を不可とする判決が出てしまったとしても、離婚訴訟まで行ったという実績は、将来控えている再度の離婚請求の足がかりとなるものですので、一度、こうした法的手続をとってみることをご検討いただいても良いと思います。
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