別居と婚姻費用について 婚姻費用
Auther :木上 望
Q 別居中の夫から離婚を求められました。拒否したところ、離婚に応じないのであれば、来月からの生活費を渡さないといわれています。どうしたらよいでしょうか?
A 離婚の話し合いにおいて、ご相談のケースのように、生活費の支払いが離婚の交渉材料とされる場合や、希望する条件で子どもとの面会交流を認めないのであれば養育費を支払わないという形で養育費の支払いが面会交流の交渉材料に用いられる場合などがあります。
しかし、生活費(婚姻費用)や養育費は、離婚や面会交流の有無とは別の観点から必要とされるものですので、交渉を有利に進めるための材料としてこれらを用いることは相当ではありません。
夫婦は婚姻関係が続いている限りは、その収入に応じて生活費を分担しあう義務を負います(民法第760条)。妻が夫からの離婚の申し入れを拒否し、離婚に応じないからといって、夫は、婚姻費用の支払いを拒否することはできません。
ご相談のケースの場合、上記の旨を夫に伝えて説得を試み、それでも拒絶する場合には、家庭裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てることが考えられます。また、婚姻費用の支払いがなく、これによって妻の生活が逼迫しており、事前に仮払いをする緊急性がある場合には、仮払いの仮処分(審判前の保全処分)を申し立てた上で、仮処分を得て、強制執行を行うことが考えられます。
お困りの際は弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。